オススメアメコミ紹介第15回:デッドプール:マーク・ウィズ・ア・マウス
今、デッドプールがアツい。
そう感じるアメコミファンは多いのではないだろうか。
8月9月の新刊ラインナップではデッドプールの新刊が2冊同時に出るし、10月にもやっぱりデッドプールの新刊が出る。それも2冊。
ニューアベンジャーズからシージ完結まで5年ほどかかってゆっくりゆっくり刊行されたのに対し、こっちはあっという間に10月で10冊近くのデッドプール本が発売されるというわけだ。何だこの差は。
デップーファンの皆様方にとっては嬉しい悲鳴を上げたくなるかもしれないが、これからデッドプールを知っていきたいという人にとってはかえって困惑するかもしれない。
なんてったって毎月ごとに二冊増えていく計算であり、どれから読めばいいのかわからなくなるからだ。
全部買えばいいじゃんと思うかもしれないが、あまり詳しくないアメコミに約2万円を突っ込んで楽しむというのはよっぽどのお大尽くらいだろう。
アメコミ情報ブログと言う名前上、このビッグウェーブに乗るしか無いということで、9月までの既刊のデッドプールを一週間に一回ほど順番に紹介していこうという企画をたった今思いついた。
というわけで、ここから本題。
今回紹介する本は「デッドプール:マーク・ウィズ・ア・マウス」だ。
記念すべきデッドプール初翻訳本であり、これ一冊でアクション、コメディ、ゾンビ、恐竜、SF、西部劇が楽しめるという何でもありな一冊だ。
大まかなストーリー
おしゃべりな傭兵(マーク・ウィズ・ア・マウス)として知られる名うての傭兵であるデッドプール。
彼は不死身の体で戦闘の達人、そしてイカレた頭の持ち主として知られている。
そんな彼の今回の雇い主は、世界征服を目論む悪の組織、「A.I.M」だ。
依頼内容は「謎の生物兵器を現地のA.I.Mの工作員と合流後、捕獲せよ」というもの。
シンプルな内容だが、生物兵器の居るところは恐竜もいれば原住民もいる未知の密林世界「サヴェッジ・ランド」だった。
A.I.Mの工作員であり、メガネが似合うセクシー美女「ベティ博士」と合流後、デッドプールは綿密な計画による大立ち回りの末、原住民に捕まった。
そして、ついにデッドプールは謎の生物兵器を発見するが、それはなんとゾンビになった自分の生首だった。
果たしてデッドプールは依頼を完遂することが出来るのだろうか?
依頼を完遂する=世界が破滅するけどそれはいいのか。
というのが大まかなストーリーだ。
見どころ
なんてったってデッドプール主役の邦訳第一回ということで、非常にバラエティ豊かなエピソードがチョイスされているぞ。
まず、スパイ作品のような潜入が行われたかと思いきや、行き先が密林であり、そこにはパニックアクションのごとく原住民や恐竜がうようよいる。
かとおもいきや今度は宇宙で銃撃戦が行われれたりパラレルワールドを旅するSFアクションへと変貌し、挙げ句の果てにはゾンビが現れるホラーアクションになる。
これ一冊でアクションとコメディとホラーをゲップが出るほど楽しめるのが特徴だ。
特に見どころは、沢山のデッドプールが登場するというところだ。
以前別項目でも語ったが、アメコミ世界では当然のごとくパラレルワールドが存在する。
中には真面目な軍人として活動しているデッドプールもいれば。
西部劇のならず者なデッドプール
なお、この世界ではニック・フューリーが保安官をやっている。
中にはなんと女性のデッドプールも居るのだ。
ナイスバディだが素顔はお察し
物語のキーになってるソンビプールもそんなパラレル世界の住人だ。
デッドプールだけではない。
デッドプールの大暴れに巻き込まれる仲間たちもこの物語を面白おかしくしている。
前述したベティ博士の他にもA.I.Mの工作員であり、デッドプールの知り合いに似ている「ビル」や、
後半になるにつれ挙動がカマっぽくなっていくビル
サヴェッジランドの住人で、アニメ、アルティメット・スパイダーマンにも出演している「ケーザー」もちょい役だが出演するぞ。
物語後半はひたすらゾンビの群れで、ヒーローヴィラン問わずゾンビになっているが、それでも生き残っている人たち。
そしてそれを追跡するヒドラやA.I.Mの面々も巻き込み、物語は収集がつかなくなっていく。
どんなオチが待っているか。
それはコミックを買って確かめよう。
デッドプールやアメコミ入門に
デッドプールの情報をネットでしか知らない人のために相当苦労してチョイスしたと思われるこの一冊。
もちろん満点の出来栄えだ。
小冊子で小ネタやデッドプールのオリジンなどを知ることもできるし、いろんなジャンルのエピソードが挟まれ、更にアメコミ特有の「作品途中だけど作画担当が変わりますよ」というのも含まれている。
良くも悪くもアメコミ入門としてもオススメの一冊である。
ちなみに、この作品のエンディングでは次回に続く的な終わり方がしてあるが、2015年9月現在、続編はまだ邦訳されていない。
しかし、このデップーブームを鑑みるに、翻訳される可能性は極めて高いのではないだろうか。
続きが見たい方は、是非購入と布教を。
もちろん新品で購入しよう。
人気作品のためか重版されているので本屋でも比較的見つけやすいし。
オススメアメコミ紹介第14回:アントマン:セカンド・チャンスマン
映画「アントマン」まで後だいたい二週間。
よって、今回は公開記念として最近出たばかりの本を紹介だ。
大まかなストーリー
二代目アントマンであるスコット・ラングは離婚歴あり犯罪歴あり死亡歴ありと、非常に多難な人生を送っている40代のおっさんヒーローだ。
娘はなついてくれるものの、元嫁さんには半ば愛想を尽かされかけ、日々の食事にも困るという有り様だった。
散々な経歴に加えちゃらんぽらんな性格も関係し、まともな職につけないラングが訪れたのは、アイアンマンことトニー・スタークの会社である。
保安主任として雇ってもらおうと面接に行くも、面接の内容はガタガタな上にスターク本人直々にダメ出しを食らう。
そんな若干ボンクラなラングが、お情けで二次選考まで残してもらったり、自分で会社を興したりと、セカンド・チャンスを掴むためにとにかく奮闘する。
というのが大まかなストーリーだ。
スコット・ラングという男
当ブログでは2015年9月現在、初代アントマンであるハンク・ピムしか紹介していないので、簡単に二代目アントマンことスコット・ラングを紹介しておこう。
初代について知りたかったらウィキペディアか右のカテゴリー「ヒーロー:MARVEL」からどうぞ。
スコット・ラングは元は電気技師だったが、家族を養うために泥棒をしていた。
心臓病にかかった娘を救うためにアントマンスーツを盗みにピムの家に忍び込む。
そこからなんやかんやあり、娘は助かり、ラングは罪を償おうと自首するも、ピム直々の推薦により、二代目アントマンとして活動することになる。
話はしょりすぎだろと言いたいだろうが、この「なんやかんや」は今回の「セカンド・チャンスマン」において非常に重要な要素なので、知りたかったらぜひともコミックを買って確かめてほしい。
そんなラングこと二代目アントマンだが、ヒーローとしての知名度は低い。
初代がMARVELトップクラスの天才だったり人気もあったりで、やはり初代の人気を超えるのは並大抵ではない難しさなのだ。
そんな彼の面接内容の一部を紹介しよう。
まず、スーツ姿はスーツ姿でも、アントマンのスーツ姿で面接を受ける事から始まり、
就活生の方々へ、面接時には帽子やサングラスは外すように。理由を言う必要はないだろ。
しょっぱなからグダグダな面接、
就活生の方々へ、履歴書の両面印刷はやめておきましょう。理由はググればわかる。ホッチキスもNGよ。
そして独特すぎる経歴。これはヒーローとしては仕方ないことだけど。
なお、死亡歴があるヒーローはかなり多い。あのキャプテン・アメリカも死亡歴あり。
そんな彼だが、娘のことは大事に思っており、良い父親になろうと努力をし続けている。
ちゃらんぽらんな駄目オヤジだが、根っこは善良なのだ。
小さくなってスマホで大画面映画を楽しんだり歯磨き粉を節約したりと慎ましい生活を送るラング。
B級たちのセカンド・チャンス
後半に入ると、彼は自ら警備会社を興す。
社員はB級のマイナーヴィランである。
社員第一号は、クマの着ぐるみを着込んだ巨漢の男「グリズリー」だ。
グリズリーはアントマン違いでラングを襲うが、勘違いだったことを詫び、改めてラングの会社で働くことになる。
余談だが、スパイダーマンにはサイの着ぐるみ(というかパワードスーツらしきもの)を着込んだ「ライノ」というヴィランが居るが、こっちはややメジャーなヴィランだ。アニメや映画にも出演済みだし。
そんなグリズリーが紹介したのが、「マシンスミス」だ。
生体マシンであるマシンスミスは現在更生し、保釈中の身である。
子供のお遊戯にヴィラン役として呼ばれ、しかも代金を値切られる元ヴィランの生体マシン。
そんなこんなでラングの会社は事業が始まったのだが、宣伝カーがどう見ても害虫駆除業者の宣伝カーにしか見えなかったり、一流どころのヴィランである「タスクマスター」から「宿敵とか勝手に言うな」とけなされたり散々な目に遭う。
ラングは果たして成功するのか。
それはコミックを買って確かめよう。
そして感動し、「自分も会社を興すんだ」と思ったのなら、権利関係はきちんとしよう。
感想
正直あまり期待していなかったが、大当たりだ。
序盤の面接の展開は個人的に少し読んで胃が痛くなったが、全体的にまとまっているし、スコット・ラングがどんな人物なのかというのがよく分かる。
所々笑える要素があるのは原作の面白さもあるだろうが、翻訳も関係していると思う。
スラスラと頭に入ってくるし、とっつきやすいのは翻訳の妙なのではないだろうか。
コメディが大好きな人ならあまり詳しくなくても十分に楽しめる。
娘のために頑張るダメなお父さんが好きな方にオススメできる一冊だ。
オススメアメコミ紹介第13回:スパイダーマン(池上遼一版)
今回オススメアメコミ紹介とあるが、実はそんなにオススメはしない。
というのも、今回紹介する「スパイダーマン(池上遼一版)」は、読む人を非常に選ぶ。
現在放送されているアニメ「アルティメット・スパイダーマン」のような明るく楽しいノリを期待しているなら言っておくが、そんなものはこの作品に一片たりとも存在しない。
凛々しいハンサムなスパイダーマン。なお、ピーターと違いメガネは最初から掛けてない。
本作は、1970年代に劇画家「池上遼一」先生によって執筆され、講談社から出版された。
ウィキペディアによると、初期は翻訳家である「小野耕世」氏も参加していたらしいが、途中から手伝っていない。
大まかなストーリー
音羽高校に通う学生「小森ユウ」は、いわゆる科学オタクだった。
運動音痴とバカにされ、進学に役に立たない研究ばかりしていると後ろ指をさされながらも「いつか見返してやる」という若干暗めの信念を持ち、今日も研究に没頭していた。
小森が今日も今日とて研究をしていると、研究室に住み着いていたクモに噛まれてしまう。
蜘蛛に噛まれたせいか体調を崩してしまう小森だったが、気がつけば拳で鉄骨をへし折り、壁に張り付く力を身につけていた。
「研究室の放射線の影響を受けた蜘蛛に噛まれることにより、自分に蜘蛛の力が備わった」
ということを突き止めた小森は、そこからさらに研究を重ねる。
そんな危なっかしい研究を高校で、しかも防護服もなしに…というのは無粋なツッコミか。
奇跡のような出来事に舞い上がる小森は、更にそこからクモ糸のような物体を発射できるスパイダー液と、コスチュームを作る。
唐突だが、ここで科学のお勉強だ。
ウィキペディアによるとクモ糸というのは同じ太さの鋼鉄の5倍の強度とナイロン材の倍以上の伸縮性を持ち、耐熱性も非常に高く、鉛筆ほどの太さなら飛行機すら受け止めることが出来ると言われている。
そんなわけで、クモ糸は自然界で最強の強度を誇る素材として知れ渡っている。
ちなみに、人工クモ糸の大量生産を実現出来るようになったのは2013年であり、日本の企業「スパイバー社」によって実現が成功した。
つまり、この時点で当初の目標だった「クラスの皆を見返してやる」という野望は達成しているも同然である。
それどころか世紀の大発明を実現させているのだ。
まあ、漫画にこんな無粋なツッコミをするのもアレな話だが。
参考サイト:山形のベンチャーが世界初! クモ糸量産化成功の快挙
ちなみに、本家スパイダーマンのピーター・パーカーも独自に同じものを開発している。
「特許取れよ」というのはいいっこなしだ。
コスチュームまで作ってノリノリな彼だが、実はこの時点ではまだ平和のために戦おうなんて気持ちはこれっぽっちもなかった。
ちなみに全部手縫い。小森くんは結構凝り性だ。そして中々いい腕をしている。
しかし、ある日、電気を操るヴィラン「エレクトロ」が街を襲っているところを目の当たりにし、正義の為に闘うことを決意する。
そうして、小森ユウはスパイダーマンになった。
それは、同時に苦悩と孤独の道を歩むことも意味していた。
ひたすらに陰鬱
この作品を一言で言うなら「陰鬱」である。
もうとにかく酷い。
小森が何をしたんだってくらいボロクソにバッシングを受けるし、出てくるヴィランも皆ある意味被害者である。
本国版スパイダーマンでもバッシングを受けたり恋人を失ったり、ベンおじさんを殺されたりメイおばさんが狙撃されたりと負けじと不幸にあってはいるが、それでもヒーローの友人ができたり理解してくれる人が居たり、決して不幸だけ味わっているわけではない。
しかし、本作ではそんな救いは一切ない。
とにかくボロクソに叩かれ、
J・ジョナ・ジェイムソン(池上遼一版)に目をつけられ
海外に親戚居ますか?と聞きたくなるほど似てる
ひたすらに苦悩する。
その凄惨な陰鬱ぶりは「今日もアルティメットに行くぜ」なんて言っている場合ではない。
親愛なる隣人であろうとしても隣人はすべて門前払いをしてくるような状況だ。
それほどひどい。
しかも不運なことに、この作品には友人のハリーやMJは出てこない。
それどころかベンおじさん(池上遼一版)も出てこないのでスパイダーマンのテーマの一つでもある「大いなる力には大いなる責任も伴う」というものもなく、小森少年は自分一人でスパイダーマンとして戦う意味を見出さなければならなくなる。
なお、メイおばさんとグウェンは出てきます。
ちなみに、この作品ではグウェン(ルミ子さん)も相当悲惨な目に遭うことになる。
同情の余地しか無いヴィランたち
ヒーロー物にはヴィランがつきもの。
当然のことながら本作にも原作でお馴染みのヴィランが多数登場しているぞ。
しかし、ほぼ皆重苦しいエピソードが含まれている。
まず、本作一番手を務めるヴィランのエレクトロだが、人身事故の賠償金を支払うために改造人間の実験台として生み出された。
しかも、自業自得とはいえ改造した博士をうっかり殺してしまい、二度と普通の人間に戻ることができなくなってしまった。
しかも正体が小森に関係している人物であり、その人間の生命を自分で断ってしまった小森は、ますます苦悩することになる。
次に出てくるのは「リザード」だ。
こちらは当ブログでは2015年8月時点で紹介してないが、映画「アメイジング・スパイダーマン」を観た人は知っているだろう。
いつか紹介します。はい。
こちらも、どちらかと言えば完全な被害者に当たる。
とある薬の研究のため、ジャングルを探索していた時、出世のため同僚に突き落とされた博士。
それがリザードの正体だ。
その後、何とか生き延びたが、なんやかんやあって自身も感情が高ぶると爬虫類のようになってしまう体質へと変化してしまった。
しかも、その原因を作ったのがやはり小森の関係者であり、罰されるべきなのだが特にお咎めなくエピソードは終了。
リザードとなってしまった博士は戦闘中水槽に落ち、変身が溶けた瞬間ワニに食われるという凄惨な最期を遂げる。
そして小森は更に苦悩するようになる。
他にも、生まれ持ってカンガルーの力を得たせいで、普通に生きることすらままならないレスラー「カンガルー男」や、小森の信頼していた人が偽スパイダーマンとして活動し、最終的に「ミステリオ」としてスパイダーマンに襲いかかってきたりと、ひたすらに小森を曇らせに来る。
なお、カンガルー男は原作でも「カンガルー」という名のヴィランとして出演している。
なお、今回紹介しているヴィランや事件は、すべて1巻での出来事である。
文庫版まるまる一冊小森くんを殺しにかかってるぞこの本。
大いなる責任を放棄したスパイダーマン
スパイダーマンになってから連日このような不幸が襲いかかり、誰からも支えられず、一人で戦い続けていたスパイダーマンは、闘うのを諦めたのか、途中から全く戦わなくなるどころかスパイダーマンにすらならなくなる。
それもそのはず。この作品にはヒドラやAIMといったヴィランの組織なんて出てこないし、地球征服を企む悪の組織も存在しない。
それ以上に現実社会という名のヴィランが大暴れしているので、もはやスパイダーマンとして闘う意義を見出だせなくなったのかもしれない。
結果、スパイダーマンは次第にヒーローというよりも、エピソードの狂言回しとして登場するようになる。
最終回に至ってはさんざん食い物にされた一人の女性がとある力を手に入れ、復讐に走ろうとするのを止めるどころかむしろ肯定し、どこかへ去っていくというハードすぎるラストで物語は終了する。
「止めないなんてヒーローらしくない!こんなのスパイダーマンじゃない!」
と思う人も居るかもしれないが、彼はれっきとしたスパイダーマンだ。
しかし、責任を放棄したスパイダーマンだ。
ピーター・パーカーと小森ユウの大きな違い、それはベンおじさんを含め、支えや見本になる仲間が誰も居なかったことだろう。
もし、小森に「大いなる力には大いなる責任が伴う」という言葉を最初に投げかけてくれる人がいたら、小森ユウはもう少しだけヒーローとして戦っていたかもしれない。
ヒューマントーチやアイスマンのような友人がいれば、小森ユウは孤独を感じなかったかもしれない。
しかし、結局誰も救いの手を差し伸べてくれなかったので、大いなる責任は放棄され、スパイダーマンは小森ユウへと戻った。
今後、彼はどんな道を歩むのか、それは連載が終わったので想像するしか無い。
ちなみに、スパイダーバースには名前だけ出演している。
もし出演していたら、口数も少なく、とことん根暗なスパイダーマンとして活躍していただろう。
二巻まで読めば十分
この作品をスパイダーマンとして楽しみたいのであれば、文庫版2巻までで十分であり、あとは読まなくてもよい。
というのも、スパイダーマンに出てくるヴィランが2巻冒頭を最後に一切出てこなくなるからだ。
そこから先はひたすら小森ユウのスパイダーマンとしての苦悩と現実社会の食い物にされた人々の陰鬱なエピソードが描かれている。
ヒトコト断っておくが、エピソード自体は非常に秀逸であり、決してつまらない漫画ではない。
しかし、正直僕はもう読みたくない。
こんな暗い話が大嫌いだからだ。
憂鬱な気分になれるほど感情移入できたし、人間のドロドロした部分を楽しみたい人なら全巻買っても満足できることうけあいだ。
そして、最終話を読み終え、ページを閉じた後に気付く。
「これスパイダーマンじゃなくてもよくね?」
と。
余談だが、そんな陰鬱なストーリーの脚本を書いていたのは、幻魔大戦シリーズやウルフガイシリーズで有名な作家「平井和正」先生であり、いくつか過去に発表した短編小説のエピソードをまんま利用しているそうだ。
なお、先生は2015年1月に亡くなられました。
オススメアメコミ紹介第12回:Saga
敵対勢力同士での禁断の恋愛。
これはシェイクスピアの時代から続いている物語のテンプレだ。
21世紀になってもこのテンプレは大人気であり、今回紹介する作品「Saga」はそれに亜人とSFとファンタジーをミックスした傑作だ。
Saga(以下サーガ)は、アメリカでも大好評を博している作品だ。
ヒューゴー賞、アイズナー賞といった賞も獲得しており、今最も注目されている作品でもある。
なお、サーガはイメージコミックス発刊なので、DCでもマーベルでもない。
おおまかなストーリー
銀河最大の惑星「ランドフォール」に住み、科学を信奉する種族「羽人」。
ランドフォールの衛星「リース」に住み、魔法を信奉する種族「角人」。
このに種族の争いは、全宇宙を巻き込むほどの巨大なものへと発展していた。
そんな中、羽人の兵士である「アラーナ」と角人の兵士である「マルコ」は、戦争の最中恋に落ちた。
敵対している種族同士の恋愛など許されるはずもなく、二人は軍を脱走し、駆け落ちをする。
軍の追手から逃れ、ひっそりと隠れ生活をする二人の間に、やがて子供が誕生した。
ここから、物語は始まる。
子供を産み、安堵と幸福の空気に包まれるのもつかの間、追手の兵が二人の元へやってくる。
追手の目的は二人の命、そして生まれたばかりの二人の子供「ヘイゼル」だ。
更にはフリーの賞金稼ぎ、ロボットの惑星の王族まで差し向けられ、2人の命を容赦なく狙う。
一家は無事に逃げ、惑星から脱出できるのか。
家族の運命やいかに。
主な登場人物
サーガはファンタジーとSFの融合体だ。
それ故、神秘的な存在や科学的な存在、他にもスター・ウォーズのような異星人も沢山登場する。
ここでは、そんな登場人物を紹介していこう。
マルコ一家
あえてひとくくりで紹介しよう。
マルコはヘイゼルのお父さんで、一家の大黒柱だ。
剣の使い手であり怒ると強いが、善良な父であろうと誓いを立て、剣を捨てる。
そのためへその緒を剣で切らずに噛み千切ろうとしたりする。
この家にはハサミはないのか。
作中で一度死にかけるが、その際かつての婚約者の名前を言って修羅場になりかけたりする。
その妻のアラーナは、そんな夫を愛し、支えている。
男勝りな性格であり、麻痺銃を持っているが、そのことでマルコに苦言を呈されている。
愛情深く、何事も決して諦めない芯の強さを持つ彼女だが、怒ると怖い。
そして、生まれたばかりの娘ヘイゼル。
彼女は角人の角と、羽人の羽を持って生まれた少女だ。
まだ生まれたばかりなので喋ることはないが、この物語は成長したヘイゼルの回想録として描かれている。
それ故、ナレーションは全てヘイゼルが語っているのだが、どのような生き方をしたのかはまだ明らかにされていない。
家族揃って幸せな幸せな人生を歩んでいるのか、まだ逃亡生活を続けているのか。
それは今後の展開を楽しみに待とう。
プリンス4世
そんな一家を追跡するランドフォール側の追跡部隊を指揮するのが、王族の一人であるプリンス4世だ。
顔がTVモニターで、初登場シーンが濡れ場というインパクト大な登場をした彼は、貴族らしく少し傲慢なところもあるが、中々の苦労人だ。
これは年齢制限設けたほうがいいのか凄く悩んだが無修正で。
やっと戦地から戻ってきたかと思えば一家の追跡部隊の責任者として任命され、しかも任務を終えるまで妻が子供を産んだとしても戻ってくるのは許さないと通告される。
そんな彼は顔面がTVモニターで表情が読めないのに、実に感情たっぷりに描かれている。
がんばれプリンス。そのトイレ落ち着いて出来そうにないけど。
ウィル
角人側が雇ったフリーの賞金稼ぎであり、腕前は確か。
うそつき猫という嘘を嫌う猫と一緒に行動している。
角人からもらった必要経費の支払いをしてくれるカードを貰うなり、真っ先に色街に行ったりする自由な人だ。
この後エロ同人のような展開が…!?
ポン引きに年齢一桁の幼女を紹介されたりかつての恋人で同僚の賞金稼ぎがプリンス一行に射殺されたりと受難が続くが、金のために一家を追跡する。
ついでにプリンス一行にもけんかを売ったりする。
人は殺すが悪人ではなく、割といい人っぽい。
イザベル
イザベルは成り行きでヘイゼルのベビーシッターになった幽霊だ。
画面真ん中の色々はみ出している子がイザベル。
地雷で死んでしまった少女の幽霊だが、特に悲観的になること無く森で平和に暮らしていたが、外の世界に行くため、ベビーシッターとして一家に同行することに。
生前は沢山兄妹が居たので赤ん坊の面倒はそれなりに見れるし、色々育児のアドバイスをしたりする非常に優しい子だ。
なお、幽霊だからか日中は消えている。
他にも物語が進むに連れ様々な魅力ある登場人物が登場する。
感想
許されざる愛。
そして危機一髪の逃走劇。
冒頭でも語ったように、ストーリーの根っこは大昔からある典型的な物語だ。
それが非常に面白い。
こんなことならもっと早く読めばよかった。そして二巻を買えばよかった。
そう思わせてくれるアメコミを久々に読んだ。
王道のストーリーを彩るSFの設定、魅力的なキャラクター、珍妙な造形の生物。
どれもこれもが非常にツボ。
ファンタジーとSFの融合とか大好き。
お値段も1800円と(アメコミの中では)お手頃価格だし、9月には3巻も発売される。
完結まで翻訳されるかどうかはわからないが、読んで損のないどころか非常に面白い名作なので、ぜひ読んでみよう。
亜人、科学と魔法、家族愛、エロ要素。
これらキーワードにピクリとでも反応したなら、ほぼ確実に満足できることうけ合いだ。
アメコミ紹介番外編:洋楽を聴こう!~アメコミ映画で使われた音楽特集DC編~
※今回は内容が全体的にレトロです。
半年ほど前、こんな記事を書いていた
という訳で今回はDC編だ。
と、いいたいところだが、DC映画で使われている洋楽の中で知っている曲が微妙に少ない。
よって、結構今回はあっさり気味の紹介になるぞ。
MARVEL編でも書いたがこの記事は自分の好きなバンド紹介したいだけだしな。
Simon&Garfunkel:Sound of Silence
映画「ウォッチメン」の葬式シーンで使われた曲だ。
他にも映画「卒業」のテーマソングとしても知られている。
序盤の寂しげなメロディから少し賑やかな感じになるところがポイント。
サイモン&ガーファンクルは、1960年代に活躍し、ロックの殿堂にも名を刻むほどのバンドであり、小惑星の名前にもなっていたりする。
サイモン&ガーファンクルは、僕にとって非常に思い入れが強い。
中学時代音楽の授業で1位をとれたのもサイモン&ガーファンクルの「明日に架ける橋」を熱唱したからだし、MDでひたすらアルバムを聞きまくっていた。
他にも個人的に好きなのは「ミセス・ロビンソン」「スカボロー・フェア」「いとしのセシリア」「コンドルは飛んでいく」「アメリカ」あたりだな。
「ミセスロビンソン」と「いとしのセシリア」は明るい感じの曲調で残りは少し寂しげで幻想的なメロディーだ。
まったりと音楽を楽しみたいときにおすすめできるバンドだぞ。
Nat King Cole:Unforgettable
こちらも同じくウォッチメンからの音楽。
コメディアンが暗殺されるところで流れている曲だ。
非常にロマンティックな音楽と歌詞であり、最初このシーンで流れた時はびっくりした。
しかも結構マッチしてるんだもん。
ナット・キング・コールは、ジャズ好きならばぜひとも抑えておきたいミュージシャンだ。
むしろ必須科目と言って良い。
それほど有名な曲が多い。
有名なところでは「L-O-V-E」と「ROUTE66」だろうか。
この二曲はジャズ知らなくても聞いたことある人は多いぞ。
ピンと来ない人のために紹介しておこう。
どちらも多くのカヴァーを生み出した超メジャーなナンバーだ。
今でもたまに夜中に目を閉じながら聞く位好き。
他にもオススメは「ザ・クリスマス・ソング」だな。
歌もさることながら歌詞がすごく良い。
「幸せが沢山詰まっている曲」とは我が母の言葉だが、僕も同意見だ。
とにかく聞いて幸せになれる。
ジャズに興味のない人で興味をもったのなら、ぜひ色々ジャズを聞いてみてくれ。
古臭いのは否定しないがそれでもジャズには名曲が多いんだ
でもアメコミ映画に関係ないから割愛。
The Ventures:Batman Theme
明確に言えば映画ではないが、まあ有名なバンドだし、そもそもDC映画はあまり詳しくないのであとはこれくらいしか自分で紹介できるものがないんだ。
ベンチャーズが演奏しているバットマンのテーマは、1960年代のドラマ、バットマンに使われている。
キャッチーな曲だし歌詞が「バットマーン」くらいしか無いから耳に残ってる人は多いのではないだろうか。
ベンチャーズを知っている10代や20代は少ない。
実際知り合いに聞いたら誰も知らないでやんの。
ベンチャーズは今もなお活動を続ける超大御所バンドであり、かつてはビートルズ並に日本の音楽に影響を与えている。
実際にベンチャーズが流行りだしてからエレキギターブームが巻き起こり、加山雄三主演の映画「エレキの若大将」という作品が作られたほど。
若大将シリーズは現代っ子が見ても十分楽しめる良作映画だ。ぜひ見てくれ。
話を戻そう。
そんなベンチャーズは、インストゥルメンタルバンドであり、ボーカルのある曲は殆ど無い。
しかし、エレキギターのメロディが素晴らしく良く、心が踊る。
有名所といえばなんといっても「ダイアモンド・ヘッド」だろう。
ベンチャーズ知らなくても誰しも一回は聞いたことがあると思われる。
日本の映画「ウォーターボーイズ」でも使用されているぞ。
あれも10年以上昔の映画だけど。
個人的なオススメは「ウォーク・ドント・ラン」や「キャラバン」「ララバイ・オブ・ザ・リーヴス」「夜空の星」だ。
後者2つはカヴァー曲だ。
「ララバイ~」は「バーニス・ペトキア」氏が30年代に書いた曲らしいが、原曲は聞いたこと無い。
夜空の星は「加山雄三」氏が歌っている曲だが、ベンチャーズもカヴァーしている。
原曲は歌詞があるが、カヴァー版は音楽のみ。
以上、なんかやたら古い曲しか紹介していないがオススメ洋楽紹介DC編でした。
蓋を開ければバットマンとウォッチメンしか紹介してない上にバットマンは映画じゃないのはかんべんしてほしい。
趣味に走って書いた結果こうなったんだ。
おかげで凄く楽しかったけど。
オススメアメコミ紹介第11回:ウォッチメン
ブログ初期でも紹介したが、もう少し詳しく紹介したい。
なぜなら今回紹介する本は、個人的にかなり思い入れがあるからだ。
だけどいつもと同じように紹介するぞ。
「ウォッチメン」だ。
ウォッチメンは、「アラン・ムーア」氏と「デイブ・ギボンズ」氏のタッグによって、1986年から1987年の間に連載された漫画である。
ウォッチメンは、非常に高い評価を受け、カービー賞、アイズナー賞(漫画におけるアカデミー賞のようなもの)の他にもヒューゴー賞(SFにおけるアカデミー賞のようなもの)を受賞しており、2015年8月現在で、唯一同時受賞している作品がウォッチメンだ。
※8月20日追記
と思ったら「Saga」も同じくアイズナー賞とヒューゴー賞を同時受賞していた模様。
なお、ウォッチメンは特別賞を、Sagaはグラフィック・ストーリー部門(グラフィックノベルやコミックのための部門。2009年開始)をそれぞれ受賞しています。
なお、カービー賞はアイズナー賞の前身であり、1987年になくなりました。
こちらの知識不足でした。申し訳ありません。
まあ一言で言うと、すごい偉業を達成した本だということだ。
事実、この本と同時発売された「バットマン:ダークナイト・リターンズ」は、当時子供の読み物と見られていたアメコミを、大人も楽しんで読めるものだと認識され、大人になって読まなくなったファンもアメコミに引き戻したといわれている。
ピンと来ないのだったら、プリキュアがあらゆる意味で凄くリアル路線になったので、アニメを見ない大人たちが大きなお友達になったと考えよう。
だいたいそんな感じだ。
あらすじ
時は1985年10月。
ソ連との関係がかなり冷えきって一触即発の時代だ。
ある日、ニューヨークの高層マンションで「エドワード・ブレイク」という人間が殺された。
死因は転落死。
警察が捜査を終え撤収したあと、一人のマスクを被った男が現場へ侵入したことからこの物語は始まる。
男の名は、「ウォルター・コバックス」。
コバックスは非合法のヒーローとして活動しており、またの名を「ロールシャッハ」という。
ロールシャッハが調査をした結果、ブレイクもロールシャッハと同じヒーローであり、正体はかつて仲間だった「コメディアン」というヒーローだったことが判明した。
「誰かがヒーローたちを殺そうとしている」
そう推理したロールシャッハは、かつての仲間たちのもとへ警告に行くと同時に、真犯人を探すべく捜査を開始する。
というのがおおまかなあらすじだ。
ここから事態はさらに重苦しく、そして悲惨なことになっていく。
世界観
ウォッチメンの魅力の一つに、世界観がある。
「もし、ヒーローが実在したら」
というもしもの世界が描かれており、ヒーローの活躍の影響により、文化、国、道徳、科学など、あらゆる点が現実の70年代とは大きく異なっている。
ヒーローの活躍によりベトナム戦争で勝利し、ベトナムがアメリカの州の一つになっていたり、偉大な天才と文字通りの超人により世界の科学は大幅に進み、電気自動車がすでに存在している。
また、その影響は国のパワーバランスにも大きな影響を与えており、核戦争の危機にさらされていたりする。
なお、作中ではキーン条例というヒーロー活動の禁止により、ロールシャッハを除きヒーローは引退、もしくは国に仕えている。
また、作中ではヒーローや、かつて戦ったヴィランのフィギュアが発売されていたり、ヒーローによる自伝やインタビューが掲載されていたりと、非常にこだわりにこだわった世界観を読むことが出来る。
また、ヒーローと言っても、一人を除けばほぼ常人であり、鍛えたり武装している人間程度の戦闘力だ。
ロールシャッハだってボクシングをやっていたり、フック付きワイヤーガンを装備しているが、警察の集団にはかなわない。
他のヒーローたちも銃弾を喰らえば死ぬし、科学の力を借りなければ空を飛ぶこともできない。
ただし、そんな常人ヒーローの中には至近距離から撃たれても銃弾を素手でキャッチすることの出来るやつも居る。
そんな常人がいてたまるか。
ストーリー
もちろんストーリーも秀逸だ。
簡単に説明すると、かなり暗くて重い。
複雑な人間模様や、黒幕の陰謀、そして核戦争寸前のアメリカ。
これらが渦巻く中、物語は淡々と進んでいく。
また、ヒーローたちの話だけではなく、町の人々の生活のエピソードも描かれている。
この二人は物語には絡まないが、最後まで読むとその結末に唖然とする。
物語ラストには、ヒーローに関わった人たち、関わってない人たち、少しだけ関わっている人たち。
そんな人達が最後にリンクし、そして衝撃的な結末を迎えるところは個人的に凄く引きこまれた。
ココらへんは是非本編を読んでほしい。
キャラクター
世界観、ストーリーとくれば、キャラクターもやはり魅力的だ。
この作品はいわゆる群像劇であり、主人公は存在しない。
ロールシャッハはいわゆる狂言回し的なポジションとして描かれている。
そんなキャラを少しだけ紹介していこう。
いずれヒーロー紹介で詳しく紹介するのであくまでもさわり程度で。
ロールシャッハ・テストのようなマスクをかぶっているヒーローであり、この作品のキーパーソン。
「絶対に妥協しない」男であり、その精神の強さは十分超人である。
見た目は凄くカッコ良いが、風呂にはいらない、右翼、無職、オフの日は平日に看板持って町を徘徊していると、非常に近づきたくないタイプの人間だ。
また、尋問の際は相手の指をへし折る。
※ヒーローです。
二代目ナイトオウル
こちらで紹介したヒーロー、「ナイトオウル」の二代目だ。
家の遺産で装備を開発し、装備して闘うヒーローであり、小型飛行船を所持している。
また、論文を書いたりしているが基本的にはプー太郎のようなものだ。
ヒーロー活動をしていた頃はロールシャッハのパートナーだった。
性格はいたってまともな常識人だが、「もしレストランで急に悪人が襲ってきたら」といった中学生のような妄想をし、そのとおりに行動しそうになったこともあったある意味狂人である。
ちなみに、ヒーロー引退後はED気味。
欲求不満でしょぼくれてはいるがそれなりに強いし作中ではかなりまともな人。
DR.マンハッタン
DR.マンハッタンは、作中唯一の「スーパー」ヒーローだ。
そんな彼は、元人間だったが、なんやかんやあってこうなった。
その能力は作中どころかアメコミ世界でも最強クラスの戦闘力を誇る。
その能力とは、原子を操ることが出来るというものだ。
具体的に言うと、巨大化、小型化、分身なども可能な上、手をかざすだけで相手を消滅させることができるし、攻撃は一切通じない。
肉体を消滅させたとしてもすぐに再構成して復活することも出来れば、地球から月まで一瞬でワープできるし火星に巨大な建造物をつくったりも出来る。
まさに神に等しい能力の持ち主である。
もし、自分より強く賢い人間がいなくなったらどうなるか。
その答えの一つが本作には描かれている。
他にもヒーローが居るが、尺の都合でカットだ。
またいずれやる予定のキャラ紹介で改めて紹介しよう。
何ヶ月後かな。
なるべく早くします。
実写映画版、そしてアニメ版
ウォッチメンは、アメコミ史に残る一冊だと言っても過言ではない。
そんな作品は、やはり実写映画になっている。
作品そのものがエログロ暴力ありのストーリーなので、この映画もR指定の15禁となっている。
そんな本作だが、一部改変はあるものの、非常に原作を再現してくれる。
というか、原作を読まなきゃわからないんじゃないかってところは結構多い。
しかし、一度原作を読んでから映画を見ると、今度は何度も映画を見たくなる。
というのも、各所に散りばめられた原作の小ネタが非常に多いからだ。
しかも、漫画では数行で片付けられたりしたヒーローたちや、暗殺されたコメディアンの暗殺前の様子なども映像化されており、原作ファンならうれしくなる要素も含まれている。
物語ラストで名前が出たメーカーがチラリと登場。
明るいヒーロー物を期待しているなら絶対見る必要のない映画だが、原作にハマったのならぜひ見ることをおすすめする。
個人的にはロールシャッハの例のシーンは映画のほうが好きだぞ。
ところが、実はこの映画、実は結構色々もめた作品であり、ヘタすれば原作レイプと言わんばかりの内容になった可能性もある。
具体的にいえば、原作者のアラン・ムーアが映画化にワクワクしながら脚本読んだら今までの好意的な意見から一転大反対をした。
といえばわかってくれるだろう。
ウィキペディアにもそのお話は書いてあるが、映画を見る気があるなら見ないほうが良い。
ネタバレが多いからネタバレ嫌いなら特に。
また、映画を作る権利が20世紀フォックスにあった時も非難轟々であり、原作ファンから
「てめえらが作ったらこんなクソになるだろうよ」
という皮肉を込めたジョークアニメまで作られた。
なにげにネタバレや細かい原作再現があり、非常に出来の良いジョークだ。原作か映画を見たら見てみよう。
感想
抑えなきゃと思ったのに、普段より長丁場になってしまった。
というわけでさっさと感想を言うぞ。
読め。面白いから。
もう今更アレコレ「ここが面白い」「これが素晴らしい」なんていわない。
読めばわかる。
ただし暗い作品なのでそういうのが苦手な人にはおすすめできない。
暗いお話や重厚なストーリーが好き、もしくはアメコミ通ぶりたいならこれは読んでおこう。
映画はご自由に。
アニメを見よう!大昔のアメコミアニメのお話 DC編
すっかり忘れてたが、一ヶ月前こんな記事書いてた。
MARVEL紹介してDC無しは無いだろってことで急遽DCアニメのお話をすることにした。
アメコミ紹介はまた次回だ。
スーパーマン
トップバッターはおなじみ、スーパーマンだ。
英語が全くわからなくても、おなじみのあのフレーズはわかる。
「弾よりも速く、機関車よりも強く、高いビルヂングもひとっ飛び。」
このフレーズはどうやら1941年から存在していたようだ。
今から74年も昔の時代、当然生まれているはずもないので、いつもお世話になってるウィキペディアを見ながら説明していこう。
このアニメは1941年にフライシャー・スタジオで作られたものだ。
10万ドルという巨額をつぎ込んで作っただけあり、74年前とはとても思えないような非常に凄いクオリティを放っており、当時も大好評を博した。
下手すりゃ今のアニメ以上にぬるぬる動くぞ。なんだこれ。マジすげえ。
なお、フライシャー・スタジオは倒産し、現在この作品はパブリック・ドメイン扱いなので、見ようと思えば簡単に見ることができたりする。
ちなみに、日本では1963年に公開され、吹き替えを行ったのは「シンプソンズ」のホーマー・シンプソン役でおなじみ「大平透」氏である。
なんとスーパーマンのみならず、ヒロインのロイス・レーン役も大平透氏がやっているのだと言うンだから堪らない。
他にもいろんな人の声を一人で当てていたのだから、当時の声優事情と今を比べると非常に違っているのだなということが想像できる。
ちなみに、友人のジミー・オルセン役は大平透氏ではなく「愛川欽也」氏である。
「鳥だ、飛行機だ、いや、スーパーマンだ!」のフレーズでお馴染みのアニメは、1967年に公開された。
こちらもこちらでクオリティは高いが、この21年前にこれと同等のものが存在してたのだから恐ろしいものだ。
実写版の紹介もしたいが長くなりそうなので割愛。
代わりに日本吹き替え版OPを。
鳥だ!飛行機だ!のフレーズが全く違うものになっているのがポイント。
歌についてはノーコメント。
バットマン
バットマンのOPといえば、ベンチャーズのあれでおなじみだが、あれは実写作品なので今回は割愛。
アニメ版では、1967年に公開された。
なお、今から紹介するOPはポケモンのポリゴンショックの時に大変な目に遭った人は見ないほうが良い。
発作を起こしそうなOPであることに目を瞑れば、なかなか良いOPだ。
ジョーカーやペンギンといったヴィランまで紹介しているのが個人的には気に入った。
その次に公開されたのがこれだ。
こちらは見たことあるが、まあヒドい(良い意味で)。
今流行のダークナイトっぽさが全くの0であり、60年代の実写版さながらにコミカルな内容になっている。
日本版ではOPが違うが、これまた今のアニメでは考えられないようなOPだ。
なんと、声優さんが顔出しをしている。
見よ、この凄くぬるいノリ!
マジでロビンの声老けてるしバットマンの威厳が微塵もない作品だったぞ。
特筆すべきは深津絵里がレギュラー出演してることやパッパラー河合の他にも嘉門達夫がペンギン役で出演したりと地味にキャスティングが豪華だったことだろうか。
だが、一番人気があるバットマンのOPといえば、やはりこれだろう。
まじかっこいい…。
音楽もいいし、実にクールだ。
フラッシュ
二人紹介しただけでかなり長く書いてしまった。
ここからは省エネだ。
ドラマが大好評な最速ヒーローのフラッシュ(二代目)のアニメを紹介だ。
※ポリゴンショックが起きそうなOPなのでお気をつけ下さい。
さすが真紅のスピードスター、ほぼすべてのシーンで高速移動をしている。
グリーン・ランタン
宇宙の守護者であり、バットマンの万能ベルト以上に万能なリングを持つグリーン・ランタンのアニメは1967年に公開された。
※ポリゴンショックが起きそうなOPなのでお気をつけ下さい。
なんでDCのアニメ作品はこう発作が起きそうな物が多いんだよ。
ワンダーウーマン
DCのヒーローチーム、ジャスティス・リーグBIG3にしてスーパーヒロインのワンダーウーマン。
探してみるとどうも実写版は好評だったがアニメはあまりなかったようだ。
テーマソングが実に70年代だ。
実写版のOPも見たが結構好みの曲だったぞ。
紹介はまた後日に。
シャザム
キャプテン・マーベルのアニメ版のイントロがこちら。
これといって特に言うことはない。
本当に無い。
なお、実写版もあるけどこれもまたいつか紹介する予定だ。
以上が、昔のDCアニメの紹介だ。
バットマン以降紹介がスカスカなのは許してほしい。
この二人の紹介しただけでかなり時間を割いてしまい、非常に疲れたんだ。
ペース配分は考えなきゃな。
DCとMARVEL、どっちが優れてるかなんて無粋な比較はしない。
しかし個人的な感想を言うならば、アニメ作品はDCのほうが馴染みが深いものが多い。
やはり子供の頃見た作品というのは思い出補正がかかるものだ。
思い出補正抜きにしても面白いものが多かったと思うからまたDC作品も地上波で流してほしいな。
カートゥーンネットワークでは当時はいろいろ見れたけどね。
今も見れるかどうかは知らない。
で、アメコミ実写版紹介だが、またMARVELから紹介していくつもりだ。
多分一ヶ月後かそこら辺頃に。