アメコミを買おう!クリスマス特集編
これ書いてる明後日頃にはクリスマスだ。
予定はないがお腹の調子がすこぶる悪いので明後日頃には治ってるといいなあ…。
昨日腹痛で1時間単位で起きてはトイレに行って寝てを繰り返したおかげで寝不足になるわ会社遅刻しかけるわでとてもつらい。
まあそれはそうと本題だ。
世の中クリスマスと言っても、誰しもが休みをとれるというわけではない。
ホテルマンや警察官、スーパーで働く人たちは、この日はより忙しくなり、クリスマスを満喫できないものだ。
スーパーヒーローも同様だ。
クリスマスだからといってヴィランが悪事をやめるわけはなく、リア充だろうがそうでなかろうが区別なく被害をもたらしてくる。
なのでスーパーヒーローに休みはなく、常に悪党との追いかけっこをしなければならない。
警察官やスーパーのバイトですらお給料をもらっているのに対し、ほぼノーギャラで働くヒーロー。
今回は、そんなクリスマスに働くヒーローの本を紹介しよう。
が、その前に。
今回の話を紹介するにあたり、「クリスマス・キャロル」の紹介をせねばなるまい。
クリスマス・キャロルとは、イギリスの作家であるディケンズ氏の書いた小説である。
知らない人のために、クリスマス・キャロルの紹介しておこう。
お話はこうだ。
守銭奴であり、人に対するおもいやりが全くない、スクルージという人間のクズのような商人がいた。
スクルージは人々から嫌われており、とことんケチで、ボブという貧乏な事務を安い賃金でほぼ休みなしでこき使っていた。
そんなある日、クリスマス前夜に、スクルージは夢を見た。
夢の中で、かつての自分の共同経営者であり、今は故人であるマーレイが現れ、スクルージに警告をする。
警告を一笑に付すスクルージだったが、マーレイは三人の精霊を連れてきて、スクルージに様々な幻影を見せる。
一人目の精霊は、かつて夢と希望にあふれて善人だった頃のスクルージを。
二人目は、貧しくとも幸せで、暖かな暮らしをしているボブの一家と、貧困ゆえに、病気も治療できず、余命いくばくもないボブの子どもの姿を。
そして三人目は、死んだ後も誰からも悲しまれず、それどころか遺体の持ち物を奪い合う浅ましい人々や、助からなかったボブの子ども、そして、誰もこない朽ちた墓を見せた。
そしてその墓には、スクルージという名前が刻まれていた。
ショックを受け、うなだれるスクルージに、マーレイはまだ救いはあるといい、悔い改め、生き方をやり直せばまだ望みはあると告げた。
夢から覚めたスクルージは、マーレイと精霊に感謝をし、善人へと戻った。
自分の部下のボブには正しい給料とちゃんとした休みと家庭への援助を。
かつて寄付を断ったところへは惜しみない寄付を。
困っている人には積極的に手を差し伸べるようになった。
その結果、スクルージは誰からも信頼されるようになり、「クリスマスの楽しみ方を最も知っている人」として知られるようになりましたとさ。
というお話である。
やたらと長くなったが、これがクリスマス・キャロルである。
心温まる良いお話であり、今でも子どもに読み聞かせる家は多い。
なんでこんな話をしたかというと、今回紹介する漫画は、そのクリスマス・キャロルになぞられたお話だからである。
バットマン:ノエル
これは、バットマンが過ごすクリスマスのお話だ。
ゴッサムの平和のために、年中無休で悪党を狩るバットマンが過ごすクリスマスのお話だ。
このお話では、クリスマス・キャロルのお話になぞらえ、バットマンのクリスマスを紹介している。
ジョーカーの使い走りをさせられる羽目になった小悪党を脅し、あまつさえ小型監視カメラをつけ、囮として利用する。
この小悪党がボブ役である。
小悪党には息子がおり、貧しいながらも清く正しい子どもだった。
この小悪党を囮に使うということは、そんな罪のない子どもを危険に晒す可能性もある。
何も知らない子を巻き添えの危険にさらしても良いのかと執事のアルフレッドが苦言を言うも、「悪党の子どもが真人間になるという保証はない」と意に介さないバットマン。
正義のためとはいえ、やっていることはスクルージと大差ない、傲慢かつヒーローとしては正しくない行いである。
そんなある日、無理が祟り、バットマンは肺炎になる。
しかし、正義のためだと決して休まずに活動を続けるバットマン。
そんな中、病気の体を引きずってジョーカーを追跡していると、三人の人間に出会う。
まずは、キャットウーマンだ。
遊んでいる暇はないと言わんばかりに追い払おうとするバットマンを見て、キャットウーマンは、バットマンが変わってしまったことを告げる。
キャットウーマンは、このストーリーでは過去を見せた一人目の精霊の役割というわけだ。
次に現れたのはスーパーマンだ。
病気のバットマンを思いやり、助けようとするも、それすら拒否するバットマン。
目が光ってるのは写真が悪いからではなく、スーパーマンがバットマンを透視しているからです。
そんなバットマンを見て、スーパーマンはバットマンを連れて飛び、皆がバットマンをどう思っているのかを見せる。
つまり、スーパーマンは、現在を見せた二人目の精霊というわけだ。
そして、問題は三人目だ。
過去と現在を見せた精霊は、かつてのスクルージや今のスクルージを見せた。
そして、三人目はその末路を見せた。
そんな三人目の精霊の役目を司ったのは…。
やはりジョーカーだった。
そして物語はクライマックスだ。
スクルージは悔い改めるのか。
物語に救いはあるのか。
その結末はコミックを買って確かめよう!
Amazon.co.jp: バットマン:ノエル: リー・ベルメホ, 高木亮: 本
感想としては、個人的にはバットマンの中でもすごく好きな一冊だ。
クリスマス・キャロルとバットマンをよくここまでリンクさせることが出来たなと思わせる一冊であり、改めてプロのライターってすごいなと感動した。
キャラクターのイメージを全く損なわせずに(バットマンが少し暴走しがちだけど)クリスマスにふさわしい一冊に仕上がっており、クリスマスにオススメする最高の一冊だ。
何より、その画力の高さが素晴らしく、良質で大人向けなハードな絵本として読めるのも嬉しい。
ただし、クリスマス・キャロルのお話を知っていないと魅力は少し半減するかもしれない。
だからあえて今回は前半でクリスマス・キャロルを紹介しました。
非常にオススメなので、ぜひ一度読んでみてほしい。
番外編:HITMAN2巻
一応、番外編としてもう1エピソード紹介しよう。
こちらは感動は一切ないコメディものだ。
HITMAN2巻に収録されているワンエピソードであり、こちらもクリスマス・キャロルになぞらえている。
しかし、こちらのクリスマス・キャロルは、ボブがある意味主人公だ。
物語は原発作業員のボブが事故で原子炉に落ちるところから始まる。
その結果、何故かスーパーパワーに目覚めたボブは、「放射能サンタ」として活動を開始する。
その活動内容は。
虐殺だった。
クリスマスに幸せにしている人間を虐殺しまくるという、一部の人間から喝采を受けそうな活動をしていたボブこと放射能サンタクロースだったが、そんなボブにも精霊が現れた。
しかし、その精霊は末路しか見せてくれなかった。
殺し屋という名の精霊に半殺しにされるボブ。
そして物語はクライマックスだ。
ボブは悔い改めるのか。
物語に救いはあるのか。
その末路はコミックを買って確かめよう!
Amazon.co.jp: ヒットマン2: ガース・エニス, 海法紀光: 本
こちらもクリスマス・キャロルに少しながらなぞらえてるが、こっちを読む場合はクリスマス・キャロルを読む必要はあまりない。
感想だが、凄く面白い。
コメディが好きな人にはおすすめ出来る一冊だが、わざわざクリスマスに買って読むエピソードではない。
以上、クリスマスにおすすめするコミックの紹介でした。
ちなみに、上2つの漫画にはクリスマス・キャロルにそっているということ以外にも共通点がある。
それは、物語の舞台がどちらもゴッサムシティだということだ。
つくづく住みたくないと思わせてくれる街である。