アメコミ作家紹介第一回:アラン・ムーア
先週、こんなコメントを頂いた。
なぜか突然、ヒーローとは何か?という哲学的な命題(?)に関して知りたくなり、ブログを読ませていただきました。
フランクミラーのバットマンとスポーン、ヘルブレイザーくらいしか読んでませんが、一応アメコミ好きです。あのシリアスなテンションが、日本のMANGAにはないですよね。
そこでお願いなのですが、いわゆるヒーローの元型というのがどのようなものなのか、についてもし意見があったら、記事にしてくれると嬉しいです。
日本のコミックでは「正義の味方」として描かれることが多いヒーローですが、アメコミではちょっと趣きが異なる気がします。バットマンも「結果的に」正義の味方なだけで、彼をヒーローたらしめている部分は別にあるような気がしますし。その辺について、アメコミにおけるヒーローの条件とは?ということについて、知りたいなと思っている次第です。
これに対しての答えだが、僕は実はそこまで深く考えて読んでいない。
うひょーバットマンかっけー!とか、うわー、どうなるんだよこの先!的なことしか考えていないので、小難しいことはあまり考えていないのだ。
よって、気の利いた答えを用意することは出来ない。
しかし、この質問に対してとある作家さんが一つの答えを出している。
なので、今回はその作家さんを紹介しつつ、質問に対しての一つの答えも一緒に紹介しよう。
というわけで、今回紹介する作家さんは「アラン・ムーア」氏だ。
アラン・ムーア
アメコミを語る上で、アラン・ムーアは外せない。
それほどすごい人なのだ。
日本の漫画家で例えるなら手塚治虫先生とか石ノ森章太郎先生とか横山光輝先生のようなものだろうか。
違いはまだ存命でバリバリ活躍していることくらいだ。
アラン・ムーア氏は、1953年にイギリスで生まれた。
17歳に麻薬の密売が見つかり放校された後、職を転々とし、アメコミの世界にやってきたのは1971年だった。
風刺漫画家としてデビューし、度々漫画を書いていたが、作画家としては食っていけないということで、ライターとして専念することになった。
この時期に描かれていたムーア氏原作の漫画が
と
ミラクルマン (諸事情によりライターにムーア氏の名前はない)
だ。
この二冊は翻訳されており、ネットで新品購入もできる。
この二作はどちらも評価が高く、Vフォー・ヴェンデッタは映画化もしている。
また、ミラクルマンは最高傑作との呼び声高く、幻のコミックとも呼ばれていた一作だ。
ちなみに、ミラクルマンは元はマーベルマンという名前だったが、こちらもいろいろあって名前が変わっている。
その後も、ムーア氏は様々な名作を世に生み出した。
中でもバットマンの「キリング・ジョーク」は大好評を博している。
そして1986年、アメコミ界の歴史的傑作「ウォッチメン」を生み出したことにより、ムーア氏の名声は凄まじいこととなった。
これに関してはまたいつか改めて紹介しよう。
ムーア氏の作品はとにかく面白く、人気が非常に高いため、多くの作品が翻訳されている。
アメコミで何を買えばいいのか迷ったらアラン・ムーアの作品を買うというのも一つのオススメだ。
しかし、上記以外にどんな翻訳作品があるのか。
以下に、その一部を紹介しよう。
ほか多数
どれもこれも面白いが、個人的なおすすめはウォッチメンかトップ10。
トップ10はレビューもしているのでどんな作品か知りたい方は是非どうぞ。
ヒーローとは
前置きがいつも以上に長かったが、ようやく今回の本題だ。
ヒーローとは何か。という命題だ。
冒頭でも語ったが、僕はそんな気の利いたことをいえないので、今回はムーア氏が語った「ヒーローについて」という一つの答えを紹介しよう。
「俺たちは実は凄い力を持っているんだが、ソファに座ってビール片手にテレビを見ているだけだ。スーパーパワーがあったって、やっぱりソファに座ってビール片手にテレビを見てるだけだろう。 馬鹿がコスチュームを着たところで、変な格好のおかしな奴が1人増えるだけだ。 ヒーローってのはスーパーパワーがあるとか、コスチュームを着てるって事じゃない。 自らの意思でもって世界を良くしようと戦う人々の事を言うんだ 」
まさに、ヒーローってのはこのことだろう。
コスチュームを着た普通の人間や、私服で闘うスーパーパワーを持った人間。
正体を隠している者や、正体を公表している者。
ヒーローと呼ばれる全ての存在は、皆なにか良い事をしようと思って立ち上がっているのだ。
これは日本もアメリカの漫画も共通していることだろう。
スポーンは誰かを守るために魔界の力を使うし、仮面ライダーだって悪の組織から授けられた力で世界の平和を守るために戦っている。
力を使って世の中を良くするか、私利私欲に走るか。
前者を選んだ人間はヒーローとなり、後者を選べばヴィランとなる。
大事なのは、本人の考えなのだ。
これは現実でも同じだ。
警察や消防士だって、世の中を良くしようとしてコスチュームに身をまとって活動しているし、ボランティアの人だって、誰かを助けようと私服姿で被災地に赴いたりする。
たとえそれが純粋な正義ではなく別の思惑があろうが、自己満足だろうがなんだろうが、助けてくれた人にとっては十分ヒーローなのだ。
他にもムーア氏の言葉ではないが、「ヒーローとはなにか」の疑問の答えは作品やアニメのオープニング曲で語られている。
大いなる力には大いなる責任が伴う byベンおじさん(スパイダーマン)
良いも悪いもリモコン次第 by鉄人28合主題歌
どんな力も使う人によって正義の味方(ヒーロー)にも悪魔の手先(ヴィラン)にもなりうるのだ。
だから力を持つものは、それをどう使うか考えなくてはならない。
と、少し長めに語ってしまったが、これを「ヒーローとは何か」という質問の答とさせていただきます。
ごちゃっとしててよく分からなかったらごめんなさい。
なお、上記で引用しているアラン・ムーア氏の言葉だが、実は出典がわからない。
ネットで検索すればアチラコチラで見ることができるので間違ってはいないと思うのだが、出典がどのサイトにも描かれていなかったし、手持ちの本では見つからなかった、もしくは見落としていて分からなかった。
出典元を知っている方、ご一報をお願いします。