アメコミキャラクター紹介第25回:シャザム
ヒーローにだって、生活はある。
普段は普通の人々と同じく仕事をしたりご飯を食べたり、あるいはデートをしたり家でごろ寝をしたりする。
スーパーマンやスパイダーマンは新聞社で働き、バットマンやアイアンマンは会社の社長として働く。
キャプテン・アメリカはフリーのイラストレイターとかやってたりする。
しかし、悪党が人々の平和を脅かす時、ヒーローは変身し、悪と戦うのだ。
そんな変身ヒーローの中でも、とびっきりすさまじい変身をするヒーローが居る。
それが、今回紹介する「シャザム」だ。
オリジン
オリジンを紹介する前に一つだけ説明しておこう。
今回紹介するオリジンは、様々な設定の変更がおきた「NEW52」以降のものであり、1940年代の連載当初のものは割愛する。
どうしても知りたいのであれば、少プロより刊行されているシャザム!:魔法の守護者(THE NEW 52!)に挟まれている小冊子をご参考下さい。
というわけで閑話休題。オリジンの紹介だ。
少年、「ビリー・バットソン」は孤児だった。
性格もクソガキだったため何度も里親に貰われては追い出されを繰り返していたが、ある日、新たな里親として名乗りでたバスケス夫妻の元へ行くことになった。
その家は、ビリーの他にも5人の貰われ子(マリー、フレディ、ペドロ、ユージン、ターラ)がいて、みんな仲良く暮らしていた。
たとえるならタイガーマスクのちびっこハウスのようなものだと思って欲しい。こっちは兄妹じゃなくて夫妻だけど。
当然、アホくさいと言わんばかりにビリーは反発する。
実にウザい面構えだ。
初対面の印象はあまりよいものではなかったが、翌日、いじめっ子から身を挺してみんなを庇い、逆にいじめっ子どもをぶちのめす事でひねくれてはいるけど実はいいやつだということが分かり、ここから徐々に家族に打ち解けていく。
実は良い奴ビリーくん。ギザギザハートの持ち主だ。
そんなビリーに人生最大の転機が訪れたのはこのあとすぐだ。
子供同士のケンカにも介入するようないじめっ子の親(モンペ気味)が難癖をつけてきたのだ。
その仕返しと言わんばかりに、こっそり夜中に報復活動をするビリーとフレディ。
物語は、ここから大きく動き始める。
帰り際、電車に乗っていじめっこたちから逃走するビリー。
その時、どういうわけかビリーは知らない場所にワープしていた。
とりあえずさまよってみるビリーのもとに、ウィザードと名乗る魔法使いの老人が現れた。
なんでここにビリーはきたのかなど、様々な問答の末、ビリーは魔法の力を受け継ぐことになった。
話はしょりすぎだろと思うかもしれないがかんべんして欲しい。ここはきちんとコミックを読んで確かめて欲しいんだ。
ウィザードから受け継いだ魔法は、古代の英雄や、神の力を自在に操る力だった。
古代イスラエル王のソロモン王の知恵 S
最強の英雄ヘラクレスの力 H
天を支える神アトラスの体力 A
ギリシャ神話の主神である万能の神ゼウスの万能 Z
俊足の神マーキュリー(ヘルメス)の俊足 M
これら神や英雄の頭文字「SHAZAM」を唱えることにより、ビリーの体に魔法の力が宿る。
そして
これが
こーなった。
「そんな、声まで変わって…」とかそういう次元ではない。
ともあれ、善の心を見出されたビリーはシャザムとして魔法の力を受け継いだ。
これが、地上最強のヒーロー「シャザム」誕生の瞬間である。
能力
簡単に言うと、スーパーマンクラスの戦闘力を有している。
神様や英雄の力を自在に操れるし、雷まで発射することができる。
おまけにスーパーマンが苦手とする魔法も使うことができるので、相当強い。
地球人という括りならば地球最強のヒーローだといっても過言ではないかもしれない。
なお、きちんと元の姿に戻ることもできる。
変身するときはシャザムと唱えるだけで変身できるので、ウルトラマンのようにベータカプセルも必要ないし、ラッキーマンのようにラッキョウを食べる必要もないのだ。
また、この力はいろんな使い方があるのだが、これは説明するとコミックの面白さが薄れるのでぜひ読んで確かめよう。
弱点らしい弱点は、まだ子供だということくらいだろうか。
ビリーくんはまだ15歳。下手をすればこじらせているほど多感なお年ごろであり、分別の付くような大人ではない。
分かりやすくいえば逆コナン君のようなものだ。体は大人、頭脳は子供、そして力は地球最強だ。
しかし、そんなビリーくんは決して悪に走らない。
それは、彼の心の根底が善人だからだ。
この後コンビニ強盗捕まえたりなんだりでお菓子もらったりハンバーガー食べたりする。
キャプテン・マーベル
シャザムの話をするならば、この話もしておかなければならない。
今でこそシャザムはシャザムという名前になっているが、初登場時は「キャプテン・マーベル」という名前でデビューしていたのだ。
また、本来シャザムはDCではなく、「フォウセットコミックス」という出版社のもとで生まれたヒーローであり、一時期の人気はあのスーパーマンをも超えるものだった。
しかし、DC側が「スーパーマンのパクリだ」とフォウセットコミックスを訴えた。
結果、示談金を支払い、キャプテン・マーベルの出版差し止めによって和解したが、ヒーローブームも過ぎ去り、フォウセットコミックスはマンガ部門を撤退し、キャプテン・マーベルの版権だけが残る形となった。
その後、版権をDCが買い取ることで、キャプテン・マーベルはDCの世界で活躍することになる。
「これDCの言いがかりじゃね?」
と思う方は、ぜひともフォウセットコミックス時代のキャプテン・マーベルを観てみよう。
パクリかどうかはそれぞれの考えと判断に委ねる。
いずれにせよ確かなのは、キャプテン・マーベルは新たな活躍の場所で頑張っているということだ。
Captain Marvel Adventures Vol 1 6 - DC Comics Databaseより
そして、何故名前を変えたのかだが、こちらもはっきりした原因はわからない。
未だにキャプテン・マーベルという名前で出演していたりするので、特に深い理由はないのかもしれない。
ちなみに、DCの格ゲー「インジャスティス」ではシャザムという名前で参戦している。
なお、MARVELCOMICにもキャプテン・マーベルというヒーローが居る。
参考サイト:
DCコミックスのキャプテンマーベルがシャザムに改名したのは訴訟に負けたからでもMARVELに取られたからでもありません - Togetterまとめ
キャプテン・マーベル (DCコミック) - Wikipedia
2016年に映画化?
フォウセットコミックス時代からかなりの人気を誇るシャザムは、もちろん映画化もしているし、アニメではスーパーマンと街一つ壊滅させるほどの殴り合いをしたこともある。
そして、2016年にはワーナー制作の映画が公開予定だ。
そして、一部プロレス件アメコミファンの間では有名な話だが、宿敵の「ブラックアダム」を、なんとあのロック様こと「ドウェイン・ジョンソン」が演じることが決定されている。
シャザムの宿敵ブラックアダム。
プロレスを知らない人のために説明しよう。
ドウェイン・ジョンソンとは、元WWEの超人気レスラーで日本では「ロック様」の愛称で有名だ。
イケメンな上にマイクパフォーマンスに定評があり、ほぼ全てアドリブで話しているという逸話もある。
2001年頃にハムナプトラでデビューし、最近ではワイルド・スピードシリーズでも有名だ。
最新作はロックボトムをしたり最後に大暴れしたりとファン大歓喜モノだ。
プロレス界で成功した男は、ハリウッドスターとしても成功を収めつつあるというわけだ。
また、ドウェイン・ジョンソンは基本ベビーフェイス(善玉レスラーのこと)だが、ハルク・ホーガンとの一戦では、何故かヒールのハルク・ホーガンに歓声が飛び、ベビーフェイスのドウェイン・ジョンソンにブーイングが飛ぶという珍現象が発生したことがある。
恐るべしハルク・ホーガン。
映画の話題というよりもドウェイン・ジョンソンの話題になってしまったのはまあ許して欲しい。
今回この部分が書いてて一番楽しかったんだ。
おすすめコミック
シャザムが活躍しており、邦訳されているコミックはそこまで多くない。
多分4冊程度であり、そのうち三冊は恐らく新品で手に入る可能性は皆無に等しい。
※ 追記
シャザムが活躍するコミックスは計五冊(キングダム・カム、バットマン:ダークナイト、フラッシュポイント、DCスーパーヒーローズ、シャザム!魔法の守護者)
であり、キングダム・カム以外はアマゾンで購入可能です。
こちらの調査不足でした。
誠に申し訳ございません。
追記ここまで
よって、入手のし安さと内容の入り込みやすさから、シャザム!:魔法の守護者(THE NEW 52!)がオススメだ。
言っておくが、もし他の3冊が簡単に手に入ったとしても、やっぱりこの本をおすすめしていたと思う。
それほどシャザムについて分かりやすく、かつ話の入り込みやすさが一番おすすめできる逸品だ。
とにかく読んでて面白かったぞ。
ビリーがただのクソガキからヒーローとして成長していく過程が描かれているし、まるで映画を漫画にしたかのようなストーリー展開は実にのめり込みやすかった。
※ 追記
また、6月24日には魔法の守護者以降のシャザムの活躍が見れるジャスティス・リーグ:トリニティ・ウォー(THE NEW 52!)(仮)が発売予定。
シャザムに興味をもったのであれば是非。
追記ここまで
なお、僕は昔シャザムが活躍する漫画「キングダム・カム」を持っていた。
これは未来のお話を書いたストーリーであり、他にもスーパーマンやバットマンも活躍するお話だったのだが、当時の僕はアメコミのあの字も満足に知らない超初心者だ。
一回読んで「あー面白かった、良くわかんなかったけど」と、まんだらけに売り飛ばしてしまったのだ。
今でもそれを後悔している。
昔よりそこそこ詳しくなった今ならもっとお話を楽しめたんだろうなあ。